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家庭医・プライマリケア医のためのアメリカ・米国臨床留学への道
それは一つのとても大きな挑戦です

0日目 UAにて昼過ぎにシカゴ経由でSpringfieldに到着。シカゴ空港は大きく、immigrationに時間がかかったこともありSpringfieldまでの飛行機に間に合うのにぎりぎりであった。1月はさすがに寒い!といっても0度は越えていたようでタクシーの運転手は少しずつ暖かくなってきたと言っていた。

1日目 午前中はレジデント3年目Dr.Rajuについて初めてのFamily medicineの外来を見学させて頂いた。ほとんど全てが驚きと感心の連続であった。Attendantが必ずいて、一人の患者さんを診ると必ずpresentationdiscussionを行ないその後の方針を決めていたこと、レジデント3年目でも午前中で多くても12人の患者さんまでしか診ないこと、そのことでレジデントの時間的拘束が少ないように配慮されていること、密室でありプライバシーが守られていること、外来ブースを主に二つ以上使用して効率よく患者さんを受け入れていること、5歳のADHDから74歳の高血圧、高脂血症の患者さん、産科、乳児検診、24歳のうつ病の患者さんなど幅広い患者層を診ていること、、、日本との違いはいくらでもあるが、何よりも雰囲気がとてもよく、いつでもコンサルトできる外来の教育に感心させられた。

午後はレジデント3年目Dr.Markleyについて引き続きFamily medicineの外来を見学させて頂いた。Dr.Markleyはとにかくよく喋る。忙しいのにとても楽しく患者さんと話し、楽しく教えて頂いた。時々Physical examinationをさせて頂き、初めて耳や鼻の中をのぞかせて頂いた。夜に伊藤先生と現在レジデント1年目の原田先生、明日インタビューを受ける横須賀海軍病院の斎藤先生と一緒にステーキを食べに行った。レジデント採用の裏話から原田先生の豪快な経験談など大いに盛り上がった夕食となった。それにしてもアメリカのステーキは大きい。

2日目 午前中はレジデント3年目のDr.Nelsonについて外来見学、午後は伊藤先生についてCCHC (Capital community health center)に行き主にprenatal careの外来を見学に行った。CCHCは保険を持たない患者さんの来るclinicで、いわば中流から低所得者層の方々が来る公的clinicである。私自身初めての産科外来の見学でもあり大変勉強になった。何もわからないにも関わらず子宮底の長さや胎児心拍を測定させて頂いたり、pap smearの見学などもさせて頂いた。快く診察させて頂いた患者さんと教えてくれた伊藤先生に感謝。電話をもたない方がいたり、交通手段がなく2時間も歩いてきた36週の妊婦さんがいたり、13歳の妊婦がいたりと改めて幅広い患者層に驚かされる。このような公的clinicがあるのもまたアメリカならではなのだなと思うと同時に、そのようなclinicでのプログラムを組んでいるSIUの活動を大変すばらしいと思う。夕食は伊藤先生とmemorial hospital内のカフェテリアで食べる。

3日目 午前中は再びDr.Rajuについて外来を見学。再び幅広い患者層に驚かされる。Dr.Rajuはとても気さくによく喋る。喋っていない時間のほうが少ないくらいだった。いつも冗談を言いながら、それでいて私にも気を使って頂き、そして患者さんにはとにかく優しい。大変だったらいつでもサポートするという姿勢を崩さず、常に何かあれば電話するようにと言う。午前中最後の患者さんは何とも親しみやすい男性の患者さんで“日本人も好きだよ、今日はluckyだな”などと言いつつ、心をこめて握手をされた。この患者さんはpanic disorderをもつhomosexualの方で、この間、服役中の彼とアパートで一夜を共にしたら、アパートの人から訴えられ、今服役中だとか、、、。Dr.Rajuは彼と話す時は結婚指輪をしていないとね、と言ってやはり笑っていた。

 午後はconferenceに参加。始めに“カトリック(キリスト教)と健康”について教会の方が講義を行ない、引き続き“Metabolic syndrome”についてSIU内科の先生の講義、そして最後に小児の皮膚疾患についてクイズ形式で講義が進められた。恥ずかしながら私は小児の皮膚疾患はほとんどわからなかった。伊藤先生から、約1年前より宗教(信仰)と健康というテーマで講義をすることが始まったということを聞き、レジデント教育の中でも健康を多角的に捉えていることが伺え、非常に興味深い。

4日目 午前、午後とも伊藤先生について外来を経験させて頂いた。特に何人かを担当させて頂き、伊藤先生にpresentationを行なって方針を決めていった。なかなか英語を聞き取れないこともあり苦労したところもあったが、十分に時間を取って頂いたこともあり何とかこなすことができた。英語でpresentationを行うのはやはりトレーニングが必要だと痛感する。

5日目 午前はMemorial hospitalに行き、回診前のconferenceと病棟回診に参加する。Dr.Gleasonにお願いして主に産後の回診につき、環状切開なども見学させて頂く。Conferenceではまず教育的なteachingまたはeducationを最初に行っており、今回は問題症例の提示とdiscussionであった。その後に約30人ほどの入院患者の簡単な申し送りがあり、細かいチェックとその後の方針の決定を行っていた。SIUFamily medicineでは常時2030人の入院患者さんを診ているようで、必要があれば専門科にコンサルトするスタンスである。扱っている患者さんは多岐にわたり、産科、小児科、虫垂炎などの外科、精神科、内科、緩和ケアなどである。

私が見学させて頂いた産科病棟は全個室で、その部屋で分娩ができるようなベッドになっていた。C/Sが必要な時は同じフロアに小さな手術室があり、5分以内に施行できるようになっている。周産期ケアとしては理想に近いと思われた。私が経験した日本の病院との違いはいくらでもあるが、中でも気に入ったのが患者さんの食事で、決まった時間に決まった食事が運ばれてくるわけではなく、自分の好きな時間にオーダーして好きなものを食べられるという点である。私が訪れた部屋では患者さんがペプシコーラを片手にチキンサンドを食べていた。レジデントもまるでホテルだねと言っていた。アメリカでは入院期間が短いとよく言われているがほとんどが23日前の入院の患者さんばかりで、改めてベッド回転の良さを実感する。

 午後はACC(Acute Care Clinic)で伊藤先生について外来を診察した。伊藤先生はACCが最も日本の医療に近いところかもと話していたが、ここは当日予約の患者さんが来るところで風邪の人が多い。普段の外来よりもテンポが早くパッパッとこなしていく感じであった。普段はアテンディングと一緒にやるそうだが、本日は人が足りないこともあり伊藤先生一人で診療していた。私も三分の一くらいの患者さんのお手伝いさせて頂いた。最終日の夕食は伊藤先生がまだ行ったことのないステーキ屋さんに食べに行く。ステーキも美味であったが最後のデザートがかなりイケタ。

5日間という非常に短い時間ではあったが、初めてアメリカの医療、その中でもFamily medicineを経験させて頂いた。レジデント、指導医の先生方も非常に親切で、この雰囲気のよさもSIUの特徴だと思う。将来、私もFamily medicineを実践したく、これからの方向性を見るうえでもSIUを見学できたのは非常に有益であった。この場を借りて、快く見学をさせて頂いたSIUの先生方と何よりも伊藤先生に感謝を申し上げたい。ありがとうございました。