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家庭医・プライマリケア医のためのアメリカ・米国臨床留学への道
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家庭医・プライマリケア医のための 南イリノイ大学 学生・研修医見学実習申し込み 家庭医・プライマリケア医のための 南イリノイ大学 学生・研修医見学実習レポート 体験記1(医学部6年) 体験記2(医学部6年) 体験記3(医学部6年) 体験記4(医学部4年) 体験記5(医学部6年) 体験記6(医学部4年) 体験記7(医学部4年) 体験記8(医学部6年) 体験記9(医師卒後7年) 体験記10(医学部6年) 体験記11(医学部6年) 体験記12(医師卒後1年) 体験記13(医学部5年) 体験記14(医学部6年) 体験記15(医師卒後6年) 体験記16(医学部5年生) 体験記17(医学生3年) 体験記18(医師卒後7年) 体験記19(医師卒後3年) 体験記20(医学部3年) アメリカ・米国臨床留学への道 学生編 アメリカ・米国臨床留学への道 研修医編 この度、二週間と短い間だったが、幸運にもSIUにおいて見学実習に参加させていただくことができた。ここにその二週間の体験を簡潔に述べさせていただく。 2005/03/14 初日ということもあり、少し緊張しながらクリニックに向かった。午前中は伊藤先生につき、診療を見学させてもらった。Prenatal, 足首痛, 腰背部痛など、多岐にわたる疾患を見ることができた。一人の患者にかける時間が長く、また患者からの質問が多いと感じた。その後、メモリアル病院のカフェテリアで伊藤先生と食事。午後はコルポスコピー、IUDなどprocedureを見学。 2005/03/15 午前中はDr.Markley、午後はDr.Mizeurにつきclinicを見学した。白内障の術前評価、高血圧のフォロー、ADHD、肩の痛み、肝炎ワクチン摂取の相談など。医師が患者さんにたいして、加入している保険により処方する薬が異なることを説明する場面が印象的だった。日本では見られない光景である。 2005/03/16 午前中は伊藤先生の指導のもと、アレルギーの11歳の女の子にHistory taking, Physical examinationを行う。英語での初めての問診であり、かつ私の拙い英語のせいでやや難航したが、なんとかできた。そしてPrenatal、妊娠糖尿病のフォローなどを見学した。 午後はカンファレンス。ケーススタディで、咽頭痛の患者に対し、いつ、どのような症状で抗生物質を投与するかという議論が大変面白かった。どの先生方も積極的に議論を述べ、大変充実していた。そのケーススタディの後、伊藤先生のメキシコでの体験のプレゼンテーション。 夜は伊藤先生とステーキハウスへ。大変美味しく、かつとても楽しい夕食であった。伊藤先生のお話は実に面白い。 2005/03/17 午後は伊藤先生につきNursing Home、いわゆる老人ホームを見学した。百歳近い方々がほとんど。DNRの方が多いのが印象的であった。日本ではDNRという考えはさほど浸透していない。死生観の違いであろう。 2005/03/18 午前は伊藤先生につきclinic。糖尿病、高血圧、結膜炎などの問診、診察を行った。己の知識不足もさることながら、改めて外来の難しさを痛感した。私は日本でBSLを終了したばかりであったが、外来教育の欠如を感じずにはいられない。 午後はDr.Na’AllahにつきOBへ。この日の午後は出産がなかったが、新生児室を案内してくださった。親がドラッグ中毒の新生児が印象的であった。この国の社会問題を垣間見た気がした。 2005/03/20 日曜日なので実習はなかったが、翌日から大学間のExchange Programに参加する愛知医科大の学生に会い、交流を深めることができた。また、夜はたまたま日本人レジデントの原田先生とお話することができた。米国医療の功罪、レジデント生活などを聞くことができた。伊藤先生とまた異なる考えをお持ちで、楽しくお話を伺えた。 2005/03/21 午後は愛知医科大の学生と伊藤先生の交流会に参加した。愛知医科大の学生はまだ低学年で、その時期に米国の医学教育を体験できることを羨ましくを感じた。 2005/03/22 午前中にメモリアル病院でDr.Ventressにつき、胸痛で入院している男性をみた後、回診に参加した。医師と患者との会話は理解できたが、医師同士のディスカッションは理解に苦しんだ。医師の一人に、slangやjokeを使ってるから理解できないでしょ、と言われた。 午後はCCHC(capital community health center)という低所得者用の政府による診療所を訪問。米国医療の悪しき面として、その保険制度による医療行為の差別が必ず挙げられる。なるほど、CCHCは確かにFP clinicに比べ診察室も狭く質素である。しかし半日見学しただけでは医療行為の質の差までわからなかった。Prenatalが多く、胎児心音の聴取と子宮底長測定をさせてもらった。 2005/03/23 午前中、メモリアル病院へ。症例検討の後、回診を見学させていただいた。この日は二年生の学生が来ており少し話しをした。米国では一二年生の時からobserverとして病棟に来るそうだ。 午後はCFMにてカンファ。カンファというより勉強会といった感じか。医療と宗教のテーマにしたレクチャーと、糖尿病性網膜症のレクチャー。医療と宗教を考える勉強会など日本の病院では考えられず、大変興味深く感じた。 夕方より同じ建物内のACC(Acute Care Clinic)を見学させてもらった。STD疑い、副鼻腔炎、中耳炎などを問診。米国ではSTDは多いらしい。 2005/03/24 午前中、回診に参加し、午後はOBへ。この日も出産に立ち会えなかった。 伊藤先生につきclinic。強い雨のためキャンセルが多かった。Sport Physical,関節痛などを問診した。的を絞った問診とプレゼンができていないと指摘してくださった。己の未熟さにあきれていると「Practice, practice」と激励してくださった。 〜感想〜 私は米国でレジデントをすることを目標にSIUを訪れたわけでなかった。家庭医とは実際どのようなものか、米国の医療とは、米国医学教育はそれほど優れているのか、を見たくSIUを訪問した。このような私を快く受け入れてくださった伊藤先生に心より感謝申し上げたい。 日本でも昨今、プライマリーケアに対する必要性と関心は高まる一方である。そのような折に米国の家庭医を見学できたのは大変貴重な経験であった。妊婦検診、出産、乳児検診、いわゆる成人病のフォロー、そして死を見取るまで、まさに「ゆりかごから墓場まで」患者さんを診る家庭医は大変素晴らしいものと感じた。また、専門医が行いがちな無駄なharmfulな検査から患者を守る姿勢は頼もしくすらあった。EBMを追求する態度は日本人医師も見習うべきであろう。日本ではプライマリーケアは「広く浅く」と言われるが、到底「浅い」分野とは思えなかった。あらゆる意味で大変奥の深い分野であると感じざるを得ない。 医学教育に関して述べると、日本のそれとは比較する気すら失せる。大変よくシステムができており、多くの日本人が米国留学を志す理由はそこにあるのではと思った。今回、伊藤先生に外来教育をご指導いただいたが、大変勉強になり、まだまだ実習を続けたいと感じた。米国では二年生からこのような外来での問診、診察、診断、治療計画を教育される。私の大学では外来実習の機会はほとんどなかった。初期診断能力は医師として必用不可欠なのに。 4月より最終学年になる。まだ将来の医師像を明確に決めかねているが、SIUでの二週間は将来を決める上で大きなウェイトを占めるであろう。実に貴重な経験であった。 改めて、伊藤先生をはじめ、二週間お世話になった方々に感謝申し上げます。 |
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