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Home>アメリカ・米国家庭医研修に挑戦>臨床留学学生編>イリノイ大学家庭医療学実習第1回

家庭医・プライマリケア医のためのアメリカ・米国臨床留学への道
それは一つのとても大きな挑戦です

1/11/02
こん**は、みなさん。ちょっと遅いかもしれませんが、明けましておめでとうございます。

伊藤@イリノイ大学です。卒業試験を無事に終らせて、またアメリカへ戻ってきました。

今回はfamily practice(家庭医療学)を8週間の予定でローテーションする機会を得ました。去年12月31日にこちらに戻り、1月2日からはじまりました。もともと、僕はfamily practiceを学びたくてアメリカでの臨床実習を志しましたので、今ローテーションをしていてとても有意義な日々を過ごしています。(それと同時に日本の国家試験も勉強もしなければならないのですが・・・。)日本でもここ数年で家庭医、家庭医療学と言う言葉が急速に広まってきていると思いますが、まだまだ耳慣れない人もいるのではないでしょうか。僕自信も深く理解できているわけではありませんが、この実習報告を通じて少しでもみなさんにfamily practiceの様子、アメリカでの実習についてお伝えできたらと思います。

ここイリノイ大学ピオリア校Department of family and community medicineは200床くらいのmethodist hospitalとfamily medical centerで成り立っています。これらがresidents(毎年10名程×3年=30名、3年間のプログラムです。)と医学生の臨床実習の場となります。医学部3年生はローテーションで1ヶ月ほどまわります。4年生は選択実習で回ることになります。

methodist hospitalはfamily practice residency programしか持っていません。こちらでは研修医の立場が日本と少し異なり、病院を機能させているのはレジデントといっても過言ではありません。つまり、ここのレジデントは内科、外科、小児科、産婦人科、精神科、その他すべての分野の患者を受け持つわけです。アメリカには数多くのfamily practice residency programがありますが、このように病院が1つだけプログラムしか持っていないというのは他のプログラムと患者の取り合いをしなくてすむため、とくにfamily practiceにとっては良い環境といえます。ピオリアにはもう2つ程大きな病院があり、1つは600床程の病院で内科、外科、脳神経外科、ER、産婦人科、小児科、精神科、放射線科などのresidency programを持っており、ここに前はfamily practiceもありました。やはり患者の取り合いが問題になっていたようです。(この病院が学生の主な実習先となっています。僕は去年の夏ここで3ヶ月ほど内科をローテーションしました。)

もう1つfamily practiceにとって重要なのはクリニックです。ここピオリアはfamily medical ceterという大変きれいで大きいクリニックを持っています。部屋は全部で60部屋ほど、それにエックス線装置、簡単なlaboratoryといった感じです。場所は病院と道路を1本隔てた向かいにあります。ここで1年目は半日/週、2年目は2半日/週、3年目は4半日/週ほど過ごします。そして、inpatientとoutpatientのケアを3年かけて学んでいくわけです。

僕は先週と今週、クリニックで実習しています。午前中は朝9時から12時まで8〜10人ほど、昼は1時間ほどレジデント向けのカンファレンスがあります。(これは製薬会社さんの昼食つきです。)午後は1時から5時くらいまで10〜12人ほど診ます。患者層は赤ちゃんから妊婦さん、お年寄りまで実に様々です。毎日半日づつレジデントか指導教官と一緒に患者を診察しています。時には一人で話しや、身体所見を取ったりもします。去年の夏は医学部3年生として実習に参加していたのですが、今回は4年生として参加していますので、自分で見た患者さんはあまりレジデントや指導教官は見ません。それなりに責任を持たせられるのだなあ、と感じています。

今年、最初の患者さんは(1月2日ですが)なんと妊婦さんでした。(family practiceは正常な経膣分娩なら自分たちでやっています。中には帝王切開も自分でする人もいるくらいです。)36週くらいでなにも異常もなく、出産を待つだけなのですが、恥ずかしいことにどのようにアプローチすれば良いのか全く分かりませんでした。産婦人科をBSTで回ったときも外来の健康な妊婦の検診なんて見たことがなかったからです。どのような問診をし、身体所見をとり、何を指導するか、まったくわかりませんでした。でも、これも経験で毎日一人異常の割合で見ていると、自然と分かってくるものですね。最近は一人で問診、身体所見をとってレジデントは確認するだけといったところまでなってしまうのですから。その他、pap smear、乳がん検診なども日常茶飯事のように行なわれています。僕は一度もpap smearをしたことがない、といったら非常に驚かれました。でも、BSTでまわってもこれらはなかなかする機会がないのではないか、と思いますが。おかげで今はどんどんpap smer, pelvic examなどをさせてもらっています。

小児科では乳幼児の検診もfamily practiceの大切な役目の1つです。ACHD(attention deficit hyperactivity disorder)などの子供もたくさんこのクリニックには通ってきています。そして、つい最近shigellaがブレイクしたといって何人かの感染が疑われて子供も見かけました。

2週間を通じて感じたことは「ほんとに赤ちゃんからお年寄りまでありとあらゆる人がいるんだなあ」といったところでしょうか。family practiceはprimary careのprofessionalというのが僕の描いている像なのですが、改めて感じさせてもらえました。