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家庭医・プライマリケア医のためのアメリカ・米国臨床留学への道
それは一つのとても大きな挑戦です

8/13-17

今週の話題はblue alertについてです。皆さんは、これがどういうものかすぐに分かりますか。山梨医科大学付属病院ではなぜかこれがありませんでしたので、知らない方も結構いるのではないでしょうか。湘南鎌倉病院へ実習に行ったとき、はじめてこれを体験しました(そこではドクターブルーと呼んでいましたが)。

これは入院している患者さんがCPA(心肺停止状態)に陥ったときに全館放送で流れるものです。つまり、CPR(cardiopulmonary resuscitation)を行なう合図です。

こちらではすべての患者さんにDNR(do not resuscitate)か、どうかを入院時に確認します。そして、DNRではない患者さんがCPAに陥ったときにblue alertがなるわけです。

 

全力疾走

インターン、レジデントは(もちろん、学生もですが)この放送が流れると、いっせいに目の前の仕事を止めて走り出します。まるで、運動会の徒競争でピストルが鳴ったかのように全力疾走し、患者さんのいる病室を目指します。これに学生も一緒に走ってついていくわけです。ただ、こちらの病院は3つの建物からなっています。下手をすると、歩いて10分くらいかかるところをずっと全力疾走するわけです。場所によっては走って5分くらいかかるところもあります。普段はエレベーターを使いますが、このときばかりはすべて階段を使いますので、思った以上に体力を使います。特にICUは4階にありますので、他のビルから走ってきたあげく、地下から4階まで一気に駆け上がるのはかなり体力が入ります。でも、一秒を争う事態ですからみんな文句を言わずにひたすら走りつづけます。白衣の中はいろいろなものが入っていて3〜4キロはすると思いますが、それを身につけながらの疾走は想像以上に大変です。

 

シニアレジデントが指揮をとる

指揮を取るのは指導教官ではなくて、シニアレジデントです。こちらのシニアレジデントは3年目にはいったばかりで、2ヶ月ほどしか経っていません。つまり、レジデントをして2年ちょっとしか過ぎていませんがすばらしい統率力です。これにはかなり驚かされました。たった2年間の研修でCPRの指揮することができるとは驚きです。このときばかりは他のメディカルスタッフもみんな緊張し、シニアレジデントは声を張り上げてオーダーを出します。でも、インターンはただ、そばで見ているといった感じで余り医学生と変わりません。それが2年も経つとここまで違うのかといった感じです。

 

医学生の立場

前回のCPRで僕は心臓マッサージをさせてもらいました。初めての経験でとても緊張しましたが、何とか患者さんは息を吹き返すことができました。シニアレジデントは緊迫した中、指揮をとる一方で医学生のことも決して忘れませんでした。医学生に積極的に心臓マッサージをやらせました。このような緊迫した場面で医学生がある一定の役割を与えられるのはとても責任感を感じるのと同時に自分もスタッフの一員として存在していることをつくづく感じさせてくれます。日本ではどうしても緊張した状況になればなるほど医学生はただの見学者となってしまうのが現状ではないでしょうか。普段忙しさを理由に医学生の面倒を見てくれる先生は少ないと思いますが、このような状況でも面倒を見てくれる先生がこちらではいます。本当に貴重な経験をさせてもらいました。