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家庭医・プライマリケア医のためのアメリカ・米国臨床留学への道
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家庭医・プライマリケア医のための 南イリノイ大学 学生・研修医見学実習申し込み 家庭医・プライマリケア医のための 南イリノイ大学 学生・研修医見学実習レポート アメリカ・米国臨床留学への道 学生編 イリノイ大学内科学実習第1回 イリノイ大学内科学実習第2回 イリノイ大学内科学実習第3回 イリノイ大学内科学実習第4回 イリノイ大学内科学実習第5回 イリノイ大学内科学実習第6回 イリノイ大学内科学実習第7回 イリノイ大学内科学実習第8回 イリノイ大学内科学実習第9回 イリノイ大学内科学実習第10回 イリノイ大学内科学実習第11回 イリノイ大学内科学実習第12回 イリノイ大学内科学実習第13回 イリノイ大学内科学実習第14回 イリノイ大学内科学実習第15回 イリノイ大学内科学実習第16回 イリノイ大学家庭医療学実習第1回 イリノイ大学家庭医療学実習第2回 イリノイ大学家庭医療学実習第3回 医学部6年間の軌跡 医師国家試験の比較 アメリカ・米国臨床留学への道 研修医編 10/1-5 いよいよこの実習報告も今回が最後となりました。今までずっと読み続けて下さった方、どうもありがとうございました。今週もMICUをまわりましたが、まとめの意味も含めてこの3ヶ月の実習を通じて今まで書ききれなかったこと、日本での学生実習をより実りあるものにするためどう改善していけばいいのかなど、思いつくままに書かせていただきます。 学生は論文を探すし、討論もする 学生といえども、もっともっと論文を読みこまなくてはいけないと感じました。そして、受け持ちの患者さんの検査や治療方針にもっともっと関与していくべきだと思います。5年のBSTではもし時間があれば、教科書を読んでまずは基本的な知識を身につけるように、と多くの先生から言われました(特に研修医の先生から)。でも、こちらでは教科書を読みなさいとはいわれません。その代わり、学生は時間があれば論文を見つけてきて研修医、指導教官の前で発表します。指導教官でもレジデントでも学生が探してきた論文に対して真剣に聞き、一生懸命質問します。つまり、その論文を通して学ぼうとしているのです。学生が研修医や指導教官に知識を提供する、といった関係が成り立っているのです。そして、当然その論文が妥当なものであればそれをもとに患者さんを治療していきます。BSTではいつも指導教官や研修医から教えてもらうばかりで学生から教えるといったことはほとんどなかったように思います。指導教官に対しては無理だとしても学生が研修医対してもっと情報や知識を提供し、対等な立場で議論し合い、治療に参加していくことは日本でも十分可能だと思いました。 指導教官(教授も含めて)に親近感を覚える これもグループで回診していく上で非常に大切なことだと思います。僕の個人的な印象になってしまうのですが、ほとんどの指導教官は研修医(特にインターン)と学生を平等に扱おうと努力してくれます。何か質問をするときでもみんなに均等に聞いてきます。この感覚がとても新鮮に感じました。日本だと学生は知らなくても研修医は知っていて当たり前というような内容の質問ばかりされたからでしょうか。学生、研修医問わず患者さんの問題になっていることに対して誰でもいいから良いアイディアがあるか、というようなスタンスでいつも質問してきてくれます。BST中には学生と研修医に同じ質問をしてくるといったことが少なかった気がします。基本的な知識の確認だけを求めている質問ならばこのような質問になってしまいますが、学生も治療方針決定の一役をかっていると考えると質問の内容も変わってくると思います。病棟実習における学生の認識も指導教官の認識も変えていく必要があるのではないかと思いました。 また、教授といえども場合によっては医学生一人だけがついたりもしますし、日本の教授に比べるととても親近感を覚えました。その理由の一つはチームが小人数だからでしょう。教授でも助教授でも5、6人のチームの指導教官にしかなりません。教授回診のように何十人と連なっていくとどうしても学生にたくさん時間を割くことが難しくなってしまう気がします。教授、助教授、講師のドクターはBSTに比べれば、学生に対してたくさん時間を割いてくれた気がします。指導教官に親近感を覚えると、質問や自分の意見を言いやすくなるのは自然なことではないでしょうか。 EBMについてたくさんの講義がある 毎週金曜日の午後は様々な講義がありましたが、その中でEBMについての講義が結構ありました。どのように自分の探したい情報を的確に効率的に探せるか、といったところに焦点を絞っています。コンピュータールームで実際にテーマを与えられ、それに関しての論文を探し、その論文がどれくらい信頼性のあるものかを吟味する、といった内容です。この手の講義はBSTでは1回も受けたことがなかったのですが、こちらではかなり重点的に教えてくれました。EBMとしきりにいわれる時代ですが、学生の講義にももっとEBMの概念を導入した方がよいのではないかと思いました。研修医になったら他のことで忙しく、ゆっくりとコンピューターに向かって論文を探すといった余裕はあまりないような気がします。こういったことは学生のうちからもっと強調されるべきことだと思いますし、臨床医学を学び始めるとき、3、4年生からでも十分に可能な内容だと思います。 薬のブランド名、点滴の投与量などある程度は知るべき? 日本の国家試験でもアメリカの国家試験でも薬のブランド名や点滴の投与量などは余り出てきませんが、実際の臨床の場ではある程度知らなければ、回りの話しについていくことができません。そのため学生はひっきりなしに薬剤名の載った小さな本やPDAを開いていました。そして、患者さんのプレゼンテーションを行なうときもどの薬をどれくらいの量服用しているか、どれくらい点滴を受けているかなども話しをします。そうでなければ、本当の意味でその患者さんを受け持っていることにはならないわけです。しかし、BSTではあまりこのようなことを強調されません。むしろ、その患者さんの疾患について基本的なことを学ぶようにといった姿勢だったと思います。プレゼンテーションをする機会が圧倒的に少ないということも理由の一つかも知れません。こちらでは毎日プレゼンテーションをする機会がありました。プレゼンテーションの内容も患者さんの疾患についてどうこうと言うものではなく、前の24時間で何をしたか、またこれからの24時間で何をするか、と言った内容のものです。BSTでももっとこれからのことを積極的に学んでもよいのではないでしょうか。指導教官や研修医ももっと学生に責任を持たせるべきだと思います。 医学生のモチベーションが高い? 日本の医学生と比べるとこちらの学生はモチベーションが高いといわれます。いろいろな理由が考えられていますが、今回の実習を通じて僕なりに気がついた点を述べます。僕はこちらの学生のモチベーションが高いというよりは高くみえてしまう、と表現したほうがよいのではないかと思いました。モチベーションが高いと思わせる例をあげると、与えられたチャンスは絶対にひかない、たとえば、もう一人患者さんをうけもってみる?といわれればほとんどの学生がイエスと答えます。患者さんの治療方針に関して研修医が、時間がないので変わりに適当な論文を見つけてくれない?といわれれば、喜んで見つけてきます。回診中でもわからないことがあれば、すぐに質問します。そして、納得いくまで質問しつづけます。担当の患者については研修医よりもよく知っているという勢いで指導教官と議論します。 このようなことを聞くととってもやる気があるなあ、と感じるかも知れません。このような態度はいったいどこから来ているのでしょうか。1つの見方としてアメリカの文化や民族性がそのようにさせているのだろうと思われます。小学校からの教育スタイル(前に一度小学校、高校の授業を見学する機会がありました。知っていることはどんどんしゃべるし、知らないことがあったらしきりに質問する、知らないことをどうやって調べればいいか、先生は調べ方を教える)や日本人から見ると一見ずうずうしいと感じてしまうアメリカ人の性格(アメリカ人は日本人を非常に礼儀正しい人たちだと考えています。)、また、少しでも自分が一人前だと見せようとする性格が病棟においても反映されていると考えました。BSTにおける学生の態度として学ぶべきところがたくさんある気がしました。 一人一人の行動力 前にカルテの書き方について少し述べましたが、こちらでは驚くほどカルテが共通して書かれています。なぜでしょうか。僕がこちらの医学生と交流をもって最も感心させられた部分ですが、一人一人が個別に本や論文から学んでそれを実行する力があります。BSTではそういった意味でかなりの部分受身になっていたと思います。分からなければ研修医や指導教官に聞けば大抵のことは解決されてしまい、それ以上調べようとすることをやめてしまうといった状況が多かった気がします。(特に治療に関して) こちらでも学生はドクターから直接教わることも確かに多いのですが、自分達で納得するまで調べる、確認するといった姿勢もたくさん見うけられました。 BSTではカルテも科によって書き方がまちまちだったりもします。僕もそれぞれの科にいくとその科のスタイルでカルテを書いてしまいました。しかし、教科書を開いてみれば大抵どの教科書でも共通したものが書かれています。それをその通り実行している研修医のもとでは学生もきちんと書きます。適当に書いている研修医のもとでは学生も適当にカルテを書いてしまいます。BSTではこのような感じで過ごしてしまいましたが、こちらではたとえ研修医が適当に書いたとしても、自分たち学生はしっかりと書く、というような姿勢が貫かれている気がします。そして、そのような姿勢をいろいろな場面で見ることができました。また、研修医にしても指導教官にしても基本的にこのようなスタンスで患者さんを見ています。そうすると、カルテがどこでも共通した書き方で書かれる理由が分かる気がしませんか。しいてはどこの病院やクリニックでもある一定レベルの検査や治療が行なわれているといわれる理由もなんとなくわかるきがしてきました。 最後に 今まで毎週この実習報告を楽しみに読んで下さった方々、また質問やご意見をして下さった方、どうもありがとうございました。僕もこの実習報告を書きづづけることで、自分でも実習を十二分に振り返ることができ、結果として非常に実りのある実習にすることができました。この3ヶ月間多くのことを学ぶと同時にいろいろと考えされられました。特に、学生として病棟実習をいかに充実させたものにするか、ということに関して多くのヒントを得た気がします。それらを少しでも後輩の為に日本に帰ったら反映させていきたいと考えています。また、今までの実習報告の内容に限らず質問やご意見などありましたら遠慮なくメールをください。分かる範囲で、できる限りお答えしたいと思います。 日本でいつかこの実習報告を読んで頂いた多くの方にお会いできる日を楽しみにしております。そして、より一層学生実習を、日本の医療を改善するために貢献していきたいと思います。 最後にこの実習を許可してくださった山梨医科大学の各先生方この場を借りてお礼を申し上げます。 |
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