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Home>アメリカ・米国家庭医研修に挑戦>臨床留学学生編>イリノイ大学家庭医療学実習第2回

家庭医・プライマリケア医のためのアメリカ・米国臨床留学への道
それは一つのとても大きな挑戦です

みなさん、こん**は。伊藤@イリノイ大学です。

実習をしながらの国家試験の勉強は想像以上に大変ですね。おかげで毎日ヘトヘトになる日々を過ごさせていただいています。何とかぎりぎりでもいいから受かってほしいものだなあ、と思いつつ勉強に励んでおります。果たしてどうなることやら…。

さて、今回は「レジデントプログラムへ入るためのインタビュー」と「かかりつけ医としてのレジデント」についてお伝えしたいと思います。

レジデントプログラムへ入るためのインタビュー

アメリカではレジデントに入るために各プログラムに書類を提出し、インタビューを受けます。その中から自分の行きたいプログラムにランクをつけます。各プログラムも数多くの候補者の中からランクをつけていきます。そして、コンピューターでうまい具合にお互いの希望が合うと(これをマッチングと呼んでいます)、そのプログラムに入ることができます。これが基本的なプログラムへの入り方です。この間僕もあるインタビューへ呼ばれたので行ってきました。でも、これが日本で受けた就職試験と少し様子が違っていたので、お伝えしたいと思います。

インタビュー前日、泊まるホテルはプログラムが用意してくれました。送られてきた手紙に、前日泊まるホテルは・・・を予約してあります、とあり、その対応の良さにびっくり。そして、レジデントの一人が夕食に連れて行ってくれました。僕は高そうなステーキを頂きました。夕食をしながら、プログラムについていろいろな質問をします。中には、すでに緊張してあまりおいしくご飯を頂けない人もいるそうです。 その後、ホテルへ帰りインタビュー当日の準備をしました。朝7:30分病院に集合し、朝食をレジデントと一緒に食べるところから始まります。病院のプログラムについて一通り説明を受けた後、プログラムダイレクターと自己紹介も兼ねて話しをしました。そして、スタッフの人達と30分×4人話しをしました。話しの内容はどうしてこのプログラムを選んだのか、ファミリープラクティスをしたいのか、など定番の質問をしてくると思いきや、4人が4人とも聞いてきた内容は日本とアメリカの医療システムの違いは何か、日本ではどういう医療が行なわれているのか、など日本についての質問ばかりでした。どうやらその理由は僕がはじめて日本人でインタビューに来た者、ということだったらしいです。その後、何人かのレジデントと一緒にこれまた豪華なお昼をご馳走になり(しっかりデザートもついていました)、お腹いっぱいになった所で、病院の中を案内してもらいました。見るところは病棟、ICU,ER、ライブラリー、食堂、コールルーム(当直室、この病院はとくに豪華でした。トイレ、シャワー、テレビ付き、小さいホテルの一室のような感じでびっくり)などを中心にテェックしてきました。そして、プログラムダイレクターに最後のまとめをしてもらい、終ってみれば夕方4時くらいでした。はじめてのインタビューでどうなることやら、と思っていましたが、終ってみれば楽しく話しもできたし、おいしいものをたくさん頂いた一日といった感じでした。聞くところによるとこれがどこのプログラムでも基本的なインタビューの日程だそうです。レジデントのインタビューからしてアメリカではお金の使い方が違うのかなあ、と思いました。日本でもこれくらい大切に扱ってくれれば、言うことないんですけどね。

かかりつけ医としてのレジデント

前回の実習報告でもお伝えしたのですが、ここのプログラムは1年目は半日/週、2年目は2半日/週、3年目は4半日/週ほどクリニックでoutpatientを診ます。ここにくる患者さんはもちろん初診の患者もいますが、follow upの患者が大半です。初診はどこで行われているかというと多くはERです。そして、必要に応じて入院、または、数日後にクリックでfollow upといった形になります。ERでとくにかかりつけ医がいなければ、レジデントがかかりつけ医としてfollow upしていきます。仮に20歳の女性がUTI(尿路感染症)でERにきて、レジデントがかかりつけ医になったとします。そして、2ヶ月後に月経が来なくなったと言ってクリニックを再受診します。妊娠反応陽性でした。今度はprenatal careを同じレジデントが行なっていくわけです。10ヶ月後陣痛がきました。病院に入院させます。そして、自分で子供を取り上げます。場合によっては帝王切開も行ないます。指導教官の下、執刀医として行うことも可能です。無事に子供が生まれました。新生児室で子供のテェックをします。2日後、母子ともに健康な状態で退院させます。1、3、6ヶ月後検診のためにクリニックを訪れます。その間風邪を引いたらまたきます……。そのうちに母親には避妊についての指導、管理、子供には定期健康検診といったような感じで二人を同時に診察していくという光景も見られるようになります。

このようにレジデントは1年目からかかりつけ医として教育されていきます。family practiceは子供から老人までを診ますので、このように研修できるシステムが大切になってくるわけです。ここのプログラムはfamily practice専用の病院を持っていますので他の科のレジデントと競合することなくすべて自分ですることが可能です。当然各科(ER,クリニック、産婦人科、新生児科)にはその専門の指導教官がいて、常にダブルテェックを受けていますので大きな失敗をすることもありません。

このような研修(レジデントがかかりつけ医になれる)が可能な理由はアメリカの保険システムや病院システムが日本とはすこし様子が違うからかなあ、と思います。しかし、日本でも研修医のときからかかりつけ医として、長い期間に渡り自分の患者を診ていくことができる研修体制があれば、家庭医の必要性やprimary careの重要性などもっと認識されていくのではないかと思いました。