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家庭医・プライマリケア医のためのアメリカ・米国臨床留学への道
それは一つのとても大きな挑戦です

一昨日、BLS講習を受講してきましたのでその様子をお伝えしたいと思います。これは来週受講するACLS講習に必要不可欠な資格だったので受講しました。ACLS講習はSIUプログラムでは研修を始める前の必須項目です。全米では多くのプログラムが必須にしていると思われます。

全体の流れ

僕は自動車教習所、5年次の麻酔科自習、以来のBLS講習でした。麻酔科で習ったのは基本中の基本だけで1時間くらいで終わってしまったように思います。時間は平日火曜日夕方5時から10時までの5時間、ほとんどの方が仕事を終わらしてから来た様子でした。全部で30人で男性はなんと4人しかいませんでした。ちょっとさびしかったです。6つのスモールグループに分かれてビデオで説明を見て、すぐに人形を使って練習する、ということを延々と繰り返しました。日本で日赤などのBLS講習を一切受講したことがないのですが、山梨医大の麻酔科の時に習った内容と若干違う部分も見られました。5年次には成人の意識がない人のCPRのみ学びましたが、今回は成人、小児、乳児のCPRと物をのどに詰まらした場合(foreign body airway obstrucion)、について、CPRは1人でいる場合と2人以上いる場合にそれぞれ分けて行いました。これらの基準はAmerican Heart Associationのテキストに準じて行われました。

さすがアメリカと思った瞬間

みなさん、AEDって聞いたことありますか。これはAutomated External Defibrillationの略です。こちらでは新しくBLSを行う順番が去年改定されたらしいです。まず、意識のない人を見かけたらあなたはどうしますか。まず、声をかけますよね。そして、意識がなかったら助けを呼びます。次にABCDを行う、というのが今まででした。これが改定されて、助けを呼ぶ、AEDをもってこさせる、ABCDを行う、になりました。AEDは言ってみれば簡易除細動器です。胸に2箇所パットを貼り付けて、スイッチを押すと機械が自動的に心電図を分析し、必要であれば電気ショックを与えます。VFやVTの場合、CPRよりもまずは除細動をしなければいけません。それを一般の市民でもできるように開発されたものがAEDです。そして、これは消化器のようにどこにでも置かれているようになってしまったわけです。日本では救急救命士が除細動をするだけでももめていた、まだ、もめている?のに、アメリカでは一般市民がBLSの段階で除細動器を使えるようになってしまったわけです。

小児、乳児のBLS

これも成人と比べると順番が違うんですね。麻酔科では成人しか教わらなかったので知りませんでした。1人の場合、まず、1分間はCPRを行い、その後で助けを呼びに行くらしいです。成人とは原因が違うことが多いからということです。つまり、循環器が原因となることは少ない?ということらしい。物が詰まった場合、小児は基本的に成人と変わりありませんが、乳児はChest compressionをする場所と同じ場所を圧迫します。成人、小児はお腹ですが、乳児は内臓を損傷する恐れがあるため、ということです。

終わった感想

特に物を詰まらせたときの対処の仕方は大変勉強になりました。逆に言えば、これを今まで知らずに医学生を過ごし、医者になってしまった、ということに正直羞恥心を超えて恐怖さえ感じました。皆さんは今目の前で、赤ん坊が物を詰まらせてしまったら適切に対処できますか。子供が意識がなく倒れていたら、まず、何をしますか。BLS,ACLSは緊急時に適切に対処できるために普段から訓練しておくためのものです。こういったことを知らなくても平気で医師になれてしまう日本の医学教育に疑問を感じます。ひょっとしたら山梨医大だけかもしれませんが・・・。もともとBLSの知識は医療関係者は当たり前のこととして、広く一般市民が学ぶものなんですよね。これらの処置が適切に行われた次にACLSが存在します。BLS受講資格の有効期間は2年間だそうです。2年に1回は受け続けないと忘れてしまったり、いざという時に対処できないということかもしれませんね。ましてや、普段救急に携わっていない人たちには欠かせませんよね。皆さんも機会があればぜひ、受講することをお勧めします。

伊藤彰洋 6/13/02