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家庭医・プライマリケア医のためのアメリカ・米国臨床留学への道
それは一つのとても大きな挑戦です


早いもので研修を開始してから1年が経ってしまいました。最初の頃は毎日が真剣勝負でしたし、英語に苦労しながら過ごした日々が懐かしく思い出されます。今回はこの1年間で学んだこと、経験したことをまとめてみたいと思います。こうして振り返ってみると実に多くのことを経験したことに気づかされます。家庭医療学レジデントプログラムはカバーする範囲が「ゆりかごから墓場まで」に代表されるようにとても幅広いわけですが、すべてを全部1人でできるようになる必要はありません。あくまでも一般的な疾患の対処方法を幅広く知ることが大切なように思います。


まずは小児科から見てみましょう。小児科は1ヶ月の病棟研修とFPTS(僕らのプログラムにかかっているすべての入院患者をみるチーム)3ヶ月で入院患者およそ40-50名の入院患者を入院から退院まで担当したでしょうか。そのほとんどは喘息、呼吸困難、肺炎、嘔吐、下痢、発熱です。喘息、呼吸感染症、消化器感染症のマネージメントを中心に学びました。一方で1年を通じて自分の受持ち患者(300人前後)の小児外来を数多く経験しました。僕らのクリニックでは生後2週間、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月などの検診と感冒、喘息発作、急性中耳炎などが中心をしめました。夏のこの時期はスポーツ検診、学校前検診などで外来が混雑します。中学生、高校生の検診では性教育、性感染症、避妊に対する正しい知識、アルコ‐ル、たばこに関して話しをしていきますし、身体所見では精巣癌のテェック、ヘルニアのチェック、側わん症のチェックをしていきます。自分が中高生の時代、これらの検査をされた記憶がないのは僕だけでしょうか・・・。

内科ではFPTS3ヶ月、内科病棟1ヶ月、ICU1ヶ月で120名前後の患者の入院から退院まで市中病院における一般的な疾患を幅広く見てきたと思われます。脳梗塞、TIA、癲癇、髄膜炎、心筋梗塞、狭心症、CHF、肺炎、COPD、喘息、腹部痛、膵炎、虫垂炎、胆石症、GERD、胃潰瘍、下血、嘔吐、憩室炎、糖尿病、甲状腺機能不全、癌、などをたくさん見てきました。それぞれの疾患で最低限の処置の仕方を身につけると共に患者の状態を正確に把握すること(入院が必要か、集中治療が必要か、外来でフォローできるのかなど)に力を入れてきました。家庭医としては外来治療が中心になるわけですが、どの段階で病院へ入院させるべきなのかという感覚を身につけることが非常に大切になってくるわけです。

産科では2ヶ月の病棟と3ヶ月のFPTSでおそよ50の正常分娩と多くのOBトリアージ(妊婦におけるありとあらゆる主訴、腹痛、出血、頭痛、吐き気、陣痛などをERの代わりに診て入院が必要かどうか判断する)、外来クリニックで妊婦検診(初診から出産まで1年を通じて行ない)を学びました。正常の妊娠、分娩ならば1人でも検診や赤ん坊を取り上げられることはできるようになったと思います。僕はさらにOBアドバンスコースというものを選択し、普通のレジデント以上に産科経験をしています。後2年間で合計150以上の分娩を経験する予定で、それにより病院からお産の管理をしてよい許可がもらえるわけです。

クリニック

自分の外来クリニックでは1年間を通じて300人前後の患者をじっくりと診ることができたでしょうか。最初の半年間は1人につき1時間の時間が確保されており、自分で面接し、指導教官と議論し、最後に一緒に確認する、という行程を繰り返していきます。最初のうちは1時間でも足りないくらいだったのですが、今では倍以上の速さで患者を診ることができるようになりました。小児から大人の一般的な疾患、婦人科疾患、妊婦検診、精神科疾患、整形外科的疾患とすべての疾患を正しく治療できるわけではありませんが、どのように対処していけばよいのかを身につけられたと思います。

精神科疾患はうつ病、不安症、精神分裂病などを中心に1ヶ月の精神科外来を含めて学びました。家庭医が診ているうつ病、不安症の患者数は予想以上に多い事に驚かされます。

また、クリニックでは多くの合法的ドラック依存者(麻薬常習者)を担当しました。彼らの多くは慢性の腰痛できます。すでに10人以上のドクターにかかり、様々な検査、治療を試しても効果が泣く、原因不明で麻薬を毎月処方し、一生涯?飲み続けるというものです。中には本当に痛くて必要な人もいますが、金銭目当てでそれを路上で高く売りつけようとする人、医師の処方箋を勝手に書き換えて処方以上に大量の麻薬を飲み続ける人など悪質な患者いるということで、いつでも目を光らせていなければいけません。

2年目がはじまり、1年間でFPTS3ヶ月間をはじめ、ER,Cardiology,Hospice(elective),Gynecology,Obstetrics,Pediatric outpatient,NICU(neonatal intensive care unit),surgical outpatientを各1ヶ月単位でローテーションするととともに、クリニックでの実習が1年目の倍以上(3−4半日/週)に増えてますます外来重視の研修となっていきます。これからも毎月の研修の様子をHPに載せていく予定ですので興味ある方はご覧ください。