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家庭医・プライマリケア医のためのアメリカ・米国臨床留学への道
それは一つのとても大きな挑戦です

NALS(neonatal advanced life support)


研修が始まり、3週目が終了し、何とか現在まで生き延びています。この間の水曜日
(8/21/02)にNALSを受講してきましたので、その様子をお知らせします。時間は午後12:30〜4:30まででした。ALCシリーズの中ではBLSに続く短さです。インストラクターは2名で新生児室のナースでした。受講者は4名、ですべてFPレジデント1年目でした。ここらへんはアメリカのとても贅沢な場面でしょうか、受講者2名につき1名のインストラクターがついてくれるわけですから。テキストはおなじみAHA(American Heart Association),AAP(American Academy of Pediatrics)から出版されているNeonatal Resuscitation1というタイトルでした。最初の20分程度ビデオをみて、Neonatal Resuscitationの概要を学びました。そして、二つのステーションに分かれて30分ずつ講義と実技を行いました。ステーションのテーマは気管内挿管とCPRでした。その後、1人10分程度の時間で実技試験があり、最後に筆記試験が80問程度ありました。

NALSはALSシリーズの中でもっともよく使われるものです。なぜなら、毎回赤ちゃんが生まれるたびごとに必要だからです。最初の90秒間をフローチャート式にチェックしていきます。僕らFPレジデントはすでにBLS,ACLS、PALC(pediatric advanced life support),ALS(advanced life support of obstetrics、これは僕だけ受講していません。) を終了しているのでかなり要領を得ています。基本的には新生児でも小児でも成人でもABCDは同じです。NALSに特徴なのはフローチャートが30秒ごとに区切られていることです。これは他のALSと異なり、かなり緊張させられます。最初の30秒で気道確保、呼吸、心拍数、色などを確認し、無呼吸、または心拍数100以下ならば次の30秒間で酸素投与開始、そして次の30秒で心拍数が60以下ならばCPRを開始するといった手順です。

新生児のCPRはChest compression:Breathが3:1で90:30/分で行うことが成人とは違います、成人は15:2でしたよね。前胸部の面積はとても小さいので親指か人差し、中指指2本で行います。また、エピネフリンなど薬を使う頻度は2/1000人と非常に少なく、気管内挿管を必要とする場面はメコニアムがある場合以外余り多くありません。つまり、酸素をpositive pressureで投与することでかなりの新生児は大丈夫なわけです。メコニアムがあって、新生児に元気がなかったらまず、体を拭いて刺激を与える前に気管内挿管をし、吸引します。これはとても特徴なことですね。その後、酸素投与をしていくわけです。気管内挿管に費やせる時間は20秒以内というのも大切でしょう。もし、それで成功しなければ人工呼吸をしばらくしてから再度行うということになります。最後にあった筆記試験の問題数も他と違います。いつもは33問なのですが、なぜか80問以上ありました。実技は順調だったのですし、薬剤投与の機会はほとんどないというのに僕は時間がなくてほとんどテキストを読まずにいってしまったので筆記試験で追試を食らってしまい、来月薬剤の投与についてのみもう一度筆記試験を受けることになってしまいました。

まとめるとNALSは他のALSと違いもっとも頻繁に使用し、最初の90秒が勝負であるということになります。帝王切開でも経膣分娩だろうがすべての分娩に必要です。午前中に担当の患者を診察し、午後NALS、その後外来でクリニックを行い、そのまま当直に突入するというハードスケジュールでした。

伊藤彰洋

8/23/02