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家庭医・プライマリケア医のためのアメリカ・米国臨床留学への道
それは一つのとても大きな挑戦です

先月はGynecology(婦人科)の研修であった。これは去年までレジデント3年次の科目であったが、今年から研修時間を増やす目的で2年次に変更された。また、長年指導教官を担当していた先生が引退するのに伴い、新しい指導教官に変わったばかりだった。指導教官は婦人科を専門にしているDr.Rollerだ。最初の第1印象は女性だけを対象にしている家庭医といった感じだ。以前は産科や婦人科手術も手がけていたようだが、家族との時間を大切にしたいという理由から婦人科のみ、しかも、外来中心で手術もまったくしない、という他の産婦人科医から見れば少し風変わりな診療スタイルをしているが、逆に言えば、僕ら家庭医療学を専攻している研修医にとっては最良の婦人科指導医と言える。彼の診療の中心はウィメンズヘルスの中でも更年期以降の女性となっている。スプリングフィールドでの診療年数が長いので彼のファンがたくさんいるということだ。
彼の診療は予防医学に重点が置かれている。骨粗しょう症、乳癌検診、子宮ガン検診にとても重点を置いており、それに加えて、HRT(hormone replacement therapy)や不妊治療などを手がけている。
この研修で魅力的に感じたのは米国でも未だに賛否両論のHRTGynecologic Endocrinologyと言われる女性ホルモン独特の性格について研究する分野だ。まあ、もとを言えば女性ホルモンが男性ホルモンと大きく異なる性質を持っているために婦人科という学問が発達したわけだが、この分野は産婦人科医以外にウィメンズヘルスに興味を持っている家庭医以外はあまり馴染みがないかもしれない。それとも前から知られていたのかもしれないが、近年、ウィメンズヘルスという言葉とともに注目を浴びてきただけなのかもしれない。いずれにせよ、僕にとっては前から興味を持っていた分野だっただけにさらに奥深さを発見することとなり、彼からとても多くのことを学んだ。
ただ、この分野は学問的には面白いが、患者が女性のみで診療問診もとてもセンシティブなことが多く、問診や診療内容から考えてみても明らかに同性の女性医師の方が向いていると思った。その点でも彼から多くのテクニックを学んだ。異性である男性医師がいかに患者から素直に恥ずかしがらずに問題を聞きだすか、それに対応していくか、最初は戸惑うことも多かったが、回数を重ねていくごとに要領をつかんでいった。
学問的にも未だ分からないことが多く、患者個人によって使用する薬の量も決して一様でないというHRT(ホルモン療法)に代表されるような発展途上の分野かもしれないが、患者の話にじっくりと耳を傾けてみると、それが必要とされていることは明らかである。
日本に戻って診療を開始したらぜひとも開拓していきたい分野であるので、これからも引き続き力を入れて勉強していきたい。