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家庭医・プライマリケア医のためのアメリカ・米国臨床留学への道
それは一つのとても大きな挑戦です

7/1/03

先月はBehavioral Science(行動科学)とタイトルのローテーションを回った。これは言い換えれば、精神科のことである。1ヶ月間のうち1週間休暇をとったため実際には3週間しか回っていないが、それなりに楽しめた研修であったと思う。1年次のローテーションの中でもっとも楽なものだと聞いていたがその通りの気がする。何が楽かというと、レジデントとしての責任を持たされることなく、患者を見て回り、精神科領域のケアについて学べばよいのである。すでに自分の外来のクリニックではうつ病、不安症などをたくさん見てきているのでそれを専門医側から見るという感じであった。

最初の2週間は毎日違う場所に見学しに行った。知的障害者の施設でのクリニックは大変参考になった。疾患の頻度も注意する点も正常者とは違い、精神的問題も多く抱えている。普段はあまり見ることのない患者層であり、彼らが作っている独自の文化や生活習慣を理解する絶好の機会であった。少年院の施設にも見学しに行った。そこでは行動科学のコンセプトを利用して少年、少女たちの社会復帰に向けた努力が行われた。これもまた興味深かかった。SIUの精神科クリニックでは老年精神科、一般精神科外来、知的障害者外来とまわり、専門家の指導を受けながらプライマリ・ケア医としてどのように接していけばよいのか、特にインタビューの技法について様々なアドバイスを受けた。

休暇をはさんで最後の週は病院内のSASSubstance abuse service を回った。これは米国では必要不可欠でありながら日本では余り知られていない分野であろう予想される。精神科に入院してくる患者でアルコール、ドラッグなどの既往者、常用者に対してカウンセリングを行うサービスである。ここで思わぬ体験をすることができた。それはMImotivational interviewという手法である。問診において患者の気持ちをいかにうまく汲み取り止めさせる方向へ持っていかせるか、ということを念頭に開発されたインタビューテクニックである。これは慢性疾患を抱えている患者の様々な指導でも役に立つ非常に有効なものであることに確信を持った。

そして、数多くのドラッグの使用方法、作用、副作用、果ては製造方法まで知ることができた。米国ではドラッグが驚くほど身近な問題であることを改めて感じた。特に十代におけるドラッグは全米全土で問題になっているのであろう。田舎の高校のあちこちでもドラッグがいきわたっている。ちょっとフィールド散策をすると野生のマリファナが見つかるといった状態なのでまあ、それも仕方ないかなとも思う。日本でもこれから大きな問題になるであろう、それとも、もうなっているのかもしれない。僕の高校時代とは明らかに違う様相を呈している母校の様子を聞くと日本の将来が心配になる。