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家庭医・プライマリケア医のためのアメリカ・米国臨床留学への道
それは一つのとても大きな挑戦です

10/27/02

久しぶりに日記を書いている。3週間も間が空いてしまった。そして、気がつけば後数日でIMも終了する。今月は今まで出最も忙しかったローテーションだ。当直の度に3−5人の入院があり、平均して6人程度の入院患者を受け持った。この人数がどんな意味を成しているかぴんと来ない人もいると思う。医学部3年生は大抵1〜2人受け持つ。4年生は2〜3人受け持つ。インターンは当直によって様々だ。FPSでは平均4人程度受け持っていてそれなりに忙しいと感じたが、IMではそれ以上に患者を持ち、また、1人がたくさんの問題を抱えているのでかなり忙しかった。ただ、米国卒後教育委員会ではインターンは平均6人程度持つことを推奨しているらしい。今月は平均6人程度だったわけだから、フロアーにいるときはこんなに忙しくするもんなんだ、と思った。

今月は興味深い疾患に多く出くわした。Wegener’s granulomatosis,カリニ肺炎(AISD)、タリアム中毒、など教科書でしか知らない珍しい症例に出くわした。特にAISDの治療薬が発達した近年においてカリニ肺炎を見る機会はずっと減っているにもかかわらずだ。Homosexualな人にも3人出くわした。米国特有の患者かもしれない。なんとなく雰囲気でHomesexualの人が分かるような気になってきた。今月読んだ本の中でパッチアダムスは大学病院の多くの医師は患者を診ているのではなくて疾患を見ていると述べている。この点はよく注意した。どうしても、珍しい症例に出くわすと患者に対する思いやりが後回りになりがちになる。

1ヶ月でおよそ20名ほどの患者を入退院させた。小児科に比べると平均入院日数5日程度だろうか。毎日のカルテも必ずA4サイズ1ページ以上になる。小児科に比べるとえらい違いだ。平均起床時間5時半、平均12時間/日、先月よりも明らかに多く働いているだろう。

チームとして、個人としてもとても多くのことを学んだ。同僚にも恵まれた1ヶ月であった。チームリーダーのタガニーはタンザニア出身の臨床10年目。臨床経験も豊かで指導教官に引けを取らない程の知識を持っている。彼に「お前はまだまだ若くて医学知識はないけれど、カルテの内容や患者のマネージメントに関してはすばらしい。将来優秀なドクターになるだろう」とほめられた。米国の教育の良い点は良い点を素直にほめてくれるところだ。そして、パキスタン出身のベイグ臨床4年目ドクター、同じインターンとして働いた。彼の医学知識はすばらしいがマネージメントやカルテの書き方がいまいちだったが、僕に影響されたのか、この1ヶ月でかなりわかりやすいカルテを書くようになった。オブザーバーとして参加したパキスタン女医、夫がレジデントにいるが彼女はCSAに合格していない。チームラウンドで2週間を共に過ごした。彼女の医学知識はすばらしい。聞いたところによると臨床経験3〜4年だが、パキスタンでは相当優秀な成績だったらしい。医学部3年生のテリーとポール、背丈が対照的だったが、とてもまじめで素直、good studentであった。彼らのノートをみると、後一歩、というところだが、去年僕は彼らの立場で一緒にIMを3ヶ月回った。その頃に比べると僕の臨床経験は明らかに成長しているのだろう。ただし、医学知識については彼らに比べて僕が抜きん出ているわけではなかった。

この1ヶ月でどれくらい成長したのかはっきりと分からないが、とりあえず、患者を8人抱え込んでも何とかやっていける自信がついた。去年は2人持っただけで手一杯だったのだ。

来月はじめにFPのプログラムテストがある。これは3年後に受けるFP認定医試験と似たようなもので毎年この時期に実施される。米国のレジデントプログラムのレジデントすべてがこれを受験し、各学年で成績が示される。自分が全米でどのレベルにいるのか、同じ1年目のレジデントはどの程度なのか、2年目はどのレベルなのか、非常に良い教育目標となる。そのための勉強はほとんどできずに受験することになるであろう。まあ、数ヶ月のレジデント生活だし、まだまだこれからということであまり成績を気にしないでおこうと思う。

来月はSurgical outpatient だ。外科外来の見学、手技、週2日のクリニック、そして、念願のALSOコースを受講する。当直なし、毎週休みともっともリラックスできるローテーションの1つだ。大抵みんなこのローテーションで休暇を取る。僕も第2週にALSOに合わせて5日間ほどスプリングフィールドから抜け出す。研修が始まり3ヶ月間立て続けに忙しかったのでちょっとした息抜きだ。

10/8/02

最近急に寒くなってきたなあとやたら感じるようになってきた。理由は明確で毎朝5時前に起きて病院へ行き、5時半前には回診を始めるからだ。8時のアテンディングランドに間に合わせるべく、テンポよくカルテを書いていかなければいけない。瞬く間に1週間が過ぎてカルテを書くのにも余裕が出てきたが、朝は早い。イリノイ州の冬は北海道並の寒さだ。一昨日ですでに3度まで冷え込んでいたらしい。僕は当直で病院にいたので知らなかったが、今朝もかなり冷え込んでいた。1週間内科を回って学んだこと、それは生理学がとても大切だ、ということだ。FPSに比べてもっと細かい生理学や内科の知識が必要だ。その分野が実に幅広い。また、1人の患者はたくさんのドクターに支えられている。今受け持っている患者は整形外科から総合内科にコンサルトして、われわれのチームが受け持った。そして、腎臓内科、消化器内科、一般外科にコンサルトした。各科はレジデント、アテンディング、場合によっては医学生がセットになっているので、9〜10人程度のドクターに毎日見られていることになる。だから、患者自身も誰がどこの専門かわかっていないこともうなずける。ここ1週間はかなり忙しくてぜんぜん勉強する時間が持てなかった。朝5時起床なので10時にはベットに入るためだ。睡眠だけは欠かすことができない。でも、調べたいことが山ほどたまっている。今週末は2連休の休みなので何とか穴を埋めたい。

10/5/02

研修も3ヶ月目に突入した、気が付けば木の葉も色づき始め秋を感じさせる季節だ。今月はInternal Medicine(IM)で、すべての科の中で最も基本的で最も大切なものを学ばせてくれる。僕は1ヶ月内科のInpatientを中心に見ていく予定だ。しかし、それに加えて今月は5半日もクリニックの予定が入っている。とても忙しくなりそうな雰囲気だ。僕はSt.Jonh’s HPの内科チームに属している。2チームに分かれていて、構成はシニアレジデント1人、インターン2人、指導教官1人、医学生1〜2人だ。アテンディングラウンドは毎朝8時から始まる。それまでに受け持ちの患者のカルテを書き終えなくてはいけない。FPSや小児科の患者に比べると、一人の患者がたくさんの問題を抱えている。つまり、A/P で10項目近く問題が連なっていてカルテを書くのにもかなり時間がかかる。今週は最高6人ほど患者を受け持ったおかげで、朝は4時30分起床、5時から診察を始めて8時に備える有様だった。朝がこんなに早いとは予想していなかった。かといって終るのが特別早いわけではない。大抵5時か6時ごろまでかかる。当直は4日に一度で普段の当直では2,3人入院する程度だが、僕の最初の当直は6人と寝る暇もまったくなくかなり疲労させられた当直だった。アテンディングラウンドはとても勉強になるが、僕の医学知識のなさでなかなか議論に参加するところまではいっていない。ちょっと悔しいが、勉強する時間も余りなくてどうにもならずに毎日かなりもったいないことをしている気がする。今日は休日でせっかくに時間を勉強に費やせばよいものをいまいち気乗りせずに勉強していない。休日はできるだけ勉強以外のことで時間を使いたいという思いがそうさせているのだろうか。とにもかくにもこの1ヶ月基本に戻り、自分の足元をもう一度しっかりと固めていきたいと思う。